WordPress 3.5 からの新アップローダーでもメディア表示をアップロードしたユーザーのみに限定する

以前投稿した、WordPress のメディア表示をアップロードしたユーザーのみに限定する では、3.5から導入された新アップローダーのメディア表示には対応できていませんでした。これは、新アップローダーが Ajax で動作しているため、先の記事で紹介した条件分岐の is_main_query に合致せず、ユーザーでの限定条件が付加されなかったのが原因です。

新アップローダーの画像取得は、wp-admin/includes/ajax-actions.phpwp_ajax_query_attachments で行われています。
画像の取得自体は、WP_Query を利用しているので、旧バージョンで用いた pre_get_posts でのフックも有効ではありますが、残念な事に、このままだとこの関数によるクエリーかどうかの判別条件が曖昧です。

そこで、この Ajax が動作するときのみ有効となる定数を設定して、それを pre_get_posts の条件に加えることにします。

WordPress の Ajax は、wp-admin/admin-ajax.php にリクエストされ、アクションフックを用いて、実行関数が呼ばれるようになっています。該当箇所のコードは、

CODE 1

add_action( 'wp_ajax_' . $_GET['action'], 'wp_ajax_' . str_replace( '-', '_', $_GET['action'] ), 1 );

となっており、画像取得の場合は、wp_ajax_query-attachments というフックが呼ばれます。Ajax の実行関数が呼ばれる優先度は、CODE 1 を見てわかるように 1 となっているので、定数の定義を行うには、これより優先度が高い(数字が少ない)優先度を設定して、早く行わなければなりません。

優先度 0 にて、DOING_QUERY_ATTACHMENT という定数を設定し、この定数の定義の有無により、ユーザーの条件を付加させるためには、

CODE 2

/*
 * メディアの抽出条件にログインユーザーの絞り込み条件を追加する
 */
function display_only_self_uploaded_medias( $wp_query ) {
	if ( is_admin() && ( $wp_query->is_main_query() || ( defined( 'DOING_QUERY_ATTACHMENT' ) && DOING_QUERY_ATTACHMENT ) ) && $wp_query->get( 'post_type' ) == 'attachment' ) {
		$user = wp_get_current_user();
		$wp_query->set( 'author', $user->ID );
	}
}
add_action( 'pre_get_posts', 'display_only_self_uploaded_medias' );


function define_doing_query_attachment_const() {
	if ( ! defined( 'DOING_QUERY_ATTACHMENT' ) ) {
		define( 'DOING_QUERY_ATTACHMENT', true );
	}
}
add_action( 'wp_ajax_query-attachments', 'define_doing_query_attachment_const', 0 );

と、いった感じになります。

WordPress の記事一覧で他ユーザーの投稿を非表示にする

http://ja.forums.wordpress.org/topic/15002 への回答例として

他ユーザーの投稿を編集する権限がない場合に、一覧表示から他ユーザーの記事を除外してしまう方法

function exclude_other_posts( $wp_query ) {
	if ( isset( $_REQUEST['post_type'] ) && post_type_exists( $_REQUEST['post_type'] ) ) {
		$post_type = get_post_type_object( $_REQUEST['post_type'] );
		$cap_type = $post_type->cap->edit_other_posts;
	} else {
		$cap_type = 'edit_others_posts';
	}

	if ( is_admin() && $wp_query->is_main_query() && ! $wp_query->get( 'author' ) && ! current_user_can( $cap_type ) ) {
		$user = wp_get_current_user();
		$wp_query->set( 'author', $user->ID );
	}
}
add_action( 'pre_get_posts', 'exclude_other_posts' );
所有 (1) | すべて (7) | 公開済み (4) | 下書き (3)

の数字が合わなくなってしまうのが気になる方は、CSSで .count に display: none; があたるようにしてください。

WordPress のマルチサイトを複数のドメインで動かす

CODEX の wp-config.php の編集 にもあるように、WordPress アドレス (URL) とサイトアドレス (URL)を環境変数を用いて、動的に定義すると複数のドメインでアクセスできるようになります。

ただ、この方法は、マルチサイトでは機能しません。
では、どうするかというと、マルチサイト起動時にサイトとブログを判別する部分をカスタマイズします。

サイトとブログの判別は、wp-includes/ms-settings.php にて行われていますが、ここには、

if ( !isset( $current_site ) || !isset( $current_blog ) ) {

という分岐があり、$current_site と $current_blog を事前に設定しておけば、WordPress デフォルトの判定ロジックを回避することができます。
この条件分岐の直前に

if ( defined( 'SUNRISE' ) )
	include_once( WP_CONTENT_DIR . '/sunrise.php' );

と、なんともご都合的な分岐があるので、

wp-config.php に

define( 'SUNRISE', true );
define( 'MY_CURRENT_SITE', 'my.example.com' );

を定義しておき、sunrise.php では、

	if ( ! defined( 'MY_CURRENT_SITE' ) ) { return; }
	$current_site = new stdClass();
	$current_site->id = SITE_ID_CURRENT_SITE;
	$current_site->path = PATH_CURRENT_SITE;
	$current_site->blog_id = BLOG_ID_CURRENT_SITE;
	$current_site->domain = MY_CURRENT_SITE;
	$current_site->cookie_domain = MY_CURRENT_SITE;
	wp_load_core_site_options( $current_site->id );
	$current_site->site_name = wp_cache_get( SITE_ID_CURRENT_SITE .':site_name', 'site-options' );

	$_current_blog = new stdClass();
	$path = preg_replace( '|([a-z0-9-]+.php.*)|', '', $_SERVER['REQUEST_URI'] );
	$path = str_replace ( '/wp-admin/', '/', $path );
	$path = preg_replace( '|(/[a-z0-9-]+?/).*|', '$1', $path );

	$blogname = htmlspecialchars( substr( $_SERVER[ 'REQUEST_URI' ], strlen( $path ) ) );
	if ( false !== strpos( $blogname, '/' ) )
		$blogname = substr( $blogname, 0, strpos( $blogname, '/' ) );
	if ( false !== strpos( $blogname, '?' ) )
		$blogname = substr( $blogname, 0, strpos( $blogname, '?' ) );
	$reserved_blognames = array( 'page', 'comments', 'blog', 'wp-admin', 'wp-includes', 'wp-content', 'files', 'feed' );
	if ( $blogname != '' && ! in_array( $blogname, $reserved_blognames ) && ! is_file( $blogname ) )
		$path .= $blogname . '/';
	$current_blog = wp_cache_get( 'current_blog_' . DOMAIN_CURRENT_SITE . $path, 'site-options' );
	if ( ! $current_blog ) {
		$current_blog = get_blog_details( array( 'domain' => DOMAIN_CURRENT_SITE, 'path' => $path ), false );
		if ( $current_blog )
			wp_cache_set( 'current_blog_' . DOMAIN_CURRENT_SITE . $path, $_current_blog, 'site-options' );
	}
	unset($reserved_blognames);
	$current_blog->domain = MY_CURRENT_SITE;
	$blog_id = $current_blog->blog_id;
	return;

といった感じで、$current_site と $current_blog を設定。
それと、WordPress アドレス (URL) とサイトアドレス (URL) のドメインを置換するため

add_filter( 'option_siteurl', 'my_filter_siteurl', 10 );
add_filter( 'option_home', 'my_filter_siteurl', 10 );
function my_filter_siteurl( $option ) {
	if ( is_multisite() && defined( 'MY_CURRENT_SITE' ) ) {
		$option = str_replace( DOMAIN_CURRENT_SITE, MY_CURRENT_SITE, $option );
	}
	return $option;
}

をプラグインとして稼働させると、MY_CURRENT_SITE で定義したドメインで表示できます。

※ まだ、検証不足なところもあり、全ての機能が問題なく稼働するかわかりません。
※ 機能するのは、ディレクトリ型のマルチサイトです。マルチドメイン型では、sunrise.php での、$current_site と $current_blog の判別ロジックを変える必要があります。

マルチサイトの設定を一括で変更するスクリプト

必要に迫られて、つい。。

注意事項とか利用方法とか

  • wp-load.php へのパスは、環境によって合わせてください。
  • $update_options の配列に、オプション名をキーに、設定したい内容を値として記述してください。
  • 値をnull で指定すると、設定を削除できます。
  • 元に戻すことはできませんので、実行前にoptionsテーブルのバックアップをとってからにしましょう。
<?php
$update_options = array(
	'option_name_1' => 'option_value 1',
	'option_name_2' => 'option_value 2',
	'option_name_3' => 'option_value 3',
	'delete_option_name_1' => null,
	'delete_option_name_2' => null,
);

require_once( 'path-to-wp-root/wp-load.php' );

$blogs = $wpdb->get_col( $wpdb->prepare( "SELECT blog_id FROM $wpdb->blogs WHERE site_id = %d ORDER BY registered DESC", $wpdb->siteid ) );

if ( $blogs ) {
	foreach ( $blogs as $blog ) {
		switch_to_blog( $blog );
		echo "\n" . get_bloginfo( 'name' ) . "\n";
		foreach( $update_options as $option_name => $option_value ) {
			if ( is_null( $option_value ) ) {
				$ret = delete_option( $option_name );
				if ( ! $ret ) {
					echo $option_name . " が削除されませんでした。\n";
				} 
			} else {
				$option_value = maybe_unserialize( $option_value );
				$ret = update_option( $option_name, $option_value );
				if ( ! $ret ) {
					echo $option_name . " が更新されませんでした。\n";
				} 
			}
		}
		restore_current_blog();
	}
}

WordPress 3.5 でメディアのリンク先から添付ファイルのページの選択肢を消去する

WordPress 3.5 から、メディアアップローダーがガラッと変わって、3.4 までの画像を添付ファイルページにリンクさせない方法が使えなくなってしまっていますが、下記コードで(かなり強引ですが)消すことができます。

function media_script_buffer_start() {
	ob_start();
}
add_action( 'post-upload-ui', 'media_script_buffer_start' );

function media_script_buffer_get() {
	$scripts = ob_get_clean();
	$scripts = preg_replace( '#<option value="post">.*?</option>#s', '', $scripts );
	echo $scripts;
}
add_action( 'print_media_templates', 'media_script_buffer_get' );

具体的には、該当部分のスクリプトを出力している部分の一部をバッファリングして(表示を止めてPHPで文字列として扱えるようにしています)、該当部分のコードを削除しています。

1つ間違うと必要な箇所を消してしまう可能性があるなど、本当はあまり使うべき手法ではないと思っているのですが、WordPress そのものを書き換えるよりはいいので、まあ、参考程度にとどめておいてください。

3.4まではこちら → WordPressのメディアアップローダーの”添付ファイル投稿URL”ってボタンを消してハッピーになる方法。
※ 串本先生、GitHub のコードが見えてへんで。